センスは訓練によって磨かれる

松島茂雄 個性美学創学者/尚美会グループ創始者

 あなたは美容師です。そしてあなたには鋭いセンスが要求されつつあります。時代の流れはますますシンプルな、そして直感的な個性を讃えるようになりました。

 先日も某誌主催の座談会で真野博氏と語り合ったのですが、今ほど美容界にセンスの教育が求められている時代はないとのことでした。それでいて感覚教育と呼ばれるその教育が、ほとんどその真実とはかけはなれた手段で行なわれているようです。

 あなたへの感覚教育!! 鋭いセンスをもつためのフルコースを、私はここで展開してみようと思います。

―中略―

 鋭いセンスをもつには、この脊髄の神経と大脳の神経とがバランスよく働くことが大切で、これを心理学で統覚と言います。センスとは日本語でいうと感覚ということですが、私たちは「感」じるだけではいけないのです。例えば皆さんが山を見て「きれいな優しそうな山」とか「険しくて高そうだ」などと言うことは感じたことであり、この「感」だけでは鋭いセンスとはいえません。家に帰ってこの山を描こうとしたとき、感じたことだけではぜったいに描けない。高さはどれくらいだったか、地質は、樹木はどのようにはえていたか等ということを詳しく観察し、分析するということ、すなわち「覚」が大切で、この「覚」と「感」を統覚でまとめて作品技術にもってくることによって鋭いセンスの作品が生まれてくるのです。

 このように、鋭いセンスはまず神経をバランスよく働かすということですが、それぞれの体質、性格及び生活環境などによって、神経がアンバランスになることが非常に多いのです。

 たとえば、肥満タイプの人は、たいてい交感神経が発達していて、感じることは鋭いが分析して冷静に観察することは不得手であり、逆に痩せ型の人は観察、分析することには優れているが感じることはやや弱いのです。

―中略―

 こういった個人差があり、美容師でも敏感に感じる人と、観察・分析に優れた人のタイプに分けられますが、鋭いセンスを持つには、できるだけバランスよくもてるよう訓練することが必要になります。
私たちの神経は訓練によって鋭くなるのです。

「個性美学」第27巻 1964(昭和41)年6月5日 より

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